何とか保健室まで来ることが出来た。


“ガラガラ――”


保健室のスライド式のドアを開ける。



「あっ……」



下を向いていた顔を上げると、そこには先生とその周りに数人の女子生徒がいて、思わず声が出た。


さっきまで甲高い笑い声と甘えたような鼻にかかる声で先生と話していた子たちが一斉にこちらを見る。


先生の年齢は知らないけど、学校の先生の中では1番若いと思う。


しかも容姿も整ってて、世間で言うイケメン。


多感な時期の女子高生にモテないはずがない。


ここに来れば必ず先生がいて、職員室と違って、ここには先生しかいない。


この保健室という密室に近い空間。


先生と話をして自分をアピールするのに最適な場所。


どうして気付かなかったんだろう……。


他の生徒がいることに……。