「俺は梨音が言うように、梨音のことを美空と重ねて見てたのかもしれない。
梨音のことを守ってやるって言ったのも本当は梨音にじゃなくて、美空に言った言葉だったのかもしれない。
梨音を抱いたのもキスしたのも梨音と名前で呼んだのも全ては美空と重ねて……。
梨音と一緒にいると美空と一緒にいるように思えて……。
梨音は梨音で美空は美空で全く違う人なのにな……」
やっぱり……やっぱり先生は私のことを美空さんと重ねて見てたんだ……。
「でもな、梨音といると、美空のことを忘れることが出来たんだ……」
「えっ?」
「梨音と会うたびに俺の中が梨音のことでいっぱいになっていったんだ……」
「先生……」
「俺な、梨音は美空と似てるからなんだって、俺は美空が好きで梨音と美空を重ねて見てるだけなんだって、自分で何度もそう言い聞かせた……。
だけど梨音への気持ちが、どんどん膨らんで……破裂しそうなくらい膨らんで……美空を忘れちゃいけないっていう思いと、梨音に対して膨らんでいく気持ちがグチャグチャになって……。
気付くと俺は……梨音のことを……」
先生はそこで言葉を切って私を見た。
再び目にいっぱい涙を溜めた先生。
私の胸は“チクン”と痛んだ後に“ドキドキ”と鳴っていて……。



