「美空が亡くなって、それから俺はこのアパートに引っ越して来た。
美空との思い出がいっぱい詰まった部屋に住むことが辛くなったんだ……。
美空のことを忘れようとした。
空の絵を描くこともやめようとした。
でもな、出来なかったんだ……。
美空を忘れることも、空の絵を描くことをやめることも……。
それから俺は、描いた空の絵は、今も美空の誕生日とクリスマスイブと美空の命日に美空の実家に送ってるんだ。
美空との約束を守るために……。
もしかしたら捨てられてるかもしれないのにな……」
先生は力無く笑った。
その時、私が先生に何で空の絵を描いてるのか聞いた時の切ない顔をした先生の顔が頭に浮かんだ。
先生は空が好きだから描いていたわけじゃなかったんだ。
美空さんのために描いてたんだ……。
美空さんとの約束を守るために……。
私は先生が時折見せる、悲しそうな顔をする理由が、切なそうな目をする理由が、わかったような気がしたんだ。



