「付き合って1年目のクリスマスイブに2つのプレゼントを用意したんだ。
1つはクリスマスプレゼント、もう1つは付き合って1年目の記念日のプレゼント。
クリスマスプレゼントには安物だけどバイトして買った指輪、付き合って1年目の記念日のプレゼントは……あの青いスケッチブックだったんだ」
先生はそう言うと、パソコンデスクに置いてあるスケッチブックをチラッと見た。
「でもな、指輪もスケッチブックも渡せなかったんだ……」
「えっ?」
私は先生の横顔を見た。
先生は俯き、悔しそうに唇を噛み締めていた。
「あの日は珍しく雪が舞う寒い日で、美空とレストランで食事して、その後、予約していたホテルに行ってプレゼントを渡す予定にしてた……。
でもなホテルの部屋に入って、美空と些細なことで喧嘩になったんだ……。
喧嘩なんて初めてじゃなかったし、いつものように、すぐ仲直り出来ると思ってた。
でも、この日は違ったんだ。
美空は泣きながらホテルの部屋を飛び出してしまって……。
俺は、すぐに戻って来るだろうと美空を追いかけなかった。
もしあの時、追いかけて、美空を抱きしめて仲直りしていたら……あんなことは起きなかったのに……」



