「なぁ、梨音?」
泣き腫らした目で、切なそうな顔をして先生は私の名前を呼んだ。
「ん?」
「俺の話を聞いてくれないか?」
「話?」
「あぁ、俺の過去の話……」
先生はそう言って、ゆっくり立ち上がると、ヨロヨロした足取りでベッドに行き、そこに腰掛けた。
先生の言った過去の話。
それは先生と美空さんの話。
聞きたくない……。
「聞きたくない。聞きたくない!」
私は手で耳を塞いで、首をブンブン左右に振った。
「梨音、頼むから……」
先生はベッドから立ち上がり、私の傍に来ると私の体をギュッと抱きしめた。
こんな時でもドキドキする胸。
力が抜ける体。
先生のことが好きなんだと認識させられてしまう。
先生は私を抱き上げると、そのままベッドに連れて行き、ベッドの縁に先生と並んで座った。



