「梨音?」



先生の切なく優しい声がする。



「ん?」



でも私は先生の顔を見れない。


泣いてるのがバレたくないから。



「梨音?どした?」


「えっ?な、なんでもないよ?」



先生は私の顔を覗き込んできた。



「泣いてるの?」



先生にそう言われて余計に涙が溢れてきた。



「梨音?泣かないで?」



先生の指が私の頬に触れた。


“ピクン”と体が跳ねる。



「夜景が、綺麗で……。私、バカだね……。夜景を見て泣くなんて……」


「梨音はバカなんかじゃないよ?」



先生はそう言って、周りいる沢山の人を気にすることなく、私の体をギュッと強く抱きしめてくれた。


顔を上げると、先生は優しい顔をしているのに切ない目をして私を見下ろしていて……。


昼間、海で見た時と同じ目をしていた。