先生は車を駐車場に停めた。
「行こう?」
「うん」
車から降りる。
隣に来た先生は、やっぱり私の手をギュッと握り、指を絡めてきた。
「うわぁ!」
目的地に着いた時、思わず私の口から驚きの声が出た。
そこには綺麗な夜景が広がっていた。
「六甲山から見る夜景を梨音に見せてやりたくてな」
隣にいた先生はそう言った。
私のために、ここに連れて来てくれたの?
「綺麗だね」
「あぁ。神戸の夜景は1000万ドルの夜景って言われてるんだ」
「そうなんだぁ」
1000万ドルの夜景……。
ベタな言い方をすれば、宝石箱をひっくり返したような夜景。
まるで星空のような夜景。
私が住む街には、こんな夜景が綺麗に見える場所なんてない。
いろんな色が輝き、吸い込まれそうになる。
言葉では言い表せない、胸にグッとくるものがあって……。
だんだんと夜景が歪んで見えてきた。
ポタポタと落ちる涙。
夜景を見て泣くなんて……。



