その時……。
『雨宮先生、至急職員室までお戻り下さい』
と、校内放送が響いた。
その放送はもう1回繰り返される。
「2回も言わなくてもわかるっつーの!」
先生は、そんなことをブツブツ言いながら白衣に隠れていた腕時計を見る。
「うわっ!やべっ!職員会議があるの忘れてた」
さっきは校内放送に文句言ってたくせに、今は慌ててるし。
てか、もうHR終わったんだ。
「こんな天気のいい日に職員会議なんかするなんて……なぁ?そう思わね?」
「えっ?う、うん……」
いきなり先生にフラれて、今度は私が慌てる番になった。
「俺さぁ、保健室にいるから、何かあったらいつでも来いよ。いつでも相談に乗ってやるからな」
先生は笑顔でそう言った後“じゃーな”と手を軽く上げて、走ることもなく、急ぎ足で屋上を出て行った。
“バタンッ”
鉄製のドアが閉まる音がした。
と、同時に私の足の力が抜けて、その場にペタンと座り込んでしまった。
河川敷で会ったあの人は保健室の先生だったんだ……。
だから白衣を着てたんだ。
この時、河川敷で会った雨宮雪が養護教諭だということを初めて知った。



