先生は腕枕をしていた腕を外して「うーん!」と背伸びをした。
「なぁ、梨音?」
先生は横に向いて私を見る。
「ん?」
「明日、どっか行こうか?」
そう言ってニコニコしている先生。
「えっ?」
「嫌なこと忘れてさぁ……。どっか行こうぜ」
明るく振る舞い、進路で悩んでいた私を元気付けてくれてる。
先生の優しさ。
それはわかってる……。
「でも……」
「俺と梨音は先生と生徒だから誰かに見られたら困るって?そう言いたいんだろ?」
「うん……」
「だったら見られなかったらいいんだろ?」
そんなこと出来るの?
見られなかったらって……。
夏休み1日目の明日は土曜日。
どこに誰がいるかわからない。
絶対、大丈夫なんて保証はない。
そんな中、先生と2人で出掛けるなんて……。



