携帯をラグの上に置いて振り向くと、先生はベッドの上に寝転がっていた。



「先生?」



先生は私の呼びかけに上半身を起こす。



「電話、終わった?」


「うん」


「梨音、おいで?」



先生はそう言うと掛け布団を捲って、隣に来るようにベッドをポンポンとした。



「うん……」



私は先生の待つベッドへ行く。


先生の隣に入ると、先生が私の肩に腕を回して、そのまま私の体を倒した。


上半身を少し起こした先生は私の顔をジッと見つめながら、髪を優しく撫でていた。



「親に嘘つくなんて、梨音は悪い子だな」



先生が髪を撫でながらクスクス笑う。



「だって……」



帰りたくなかったんだもん。


先生が帰りたくなかったら泊まって行けばいいって言ったんじゃん。