「り、おん?」
見開かれた目をしたまま先生は私の名前を呟いた。
名前で呼ばれて胸がキュンとなる。
テーブルがあるせいで、先生と私の密着度は高い。
エアコンのきいた部屋なのに体が燃えるように熱い。
「せん、せぇ?」
私は腕を背中に回すと体を倒して先生の胸に顔を埋めた。
先生の爽やかな香りが胸の鼓動を早める。
顔を横に向けて、先生の胸に耳をつける。
規則正しい心臓の音が聞こえる。
“トクン――トクン――”
凄く心地良くて、先生の心臓の音は子守唄のよう。
「先生の心臓の音が聞こえるよ……。トクン、トクンって鳴ってる……」
「何で?」
先生の胸から顔を離し、先生を見上げた。
先生は私を不思議そうな顔で見下ろしてる。



