「自分で命を絶とうなんて考えるな。残された人は悲しみや苦しみを背負って生きていかなきゃいけないんだ……」



先生は私の体を更にギュッと強く抱きしめた。


まるで経験したことがあるかのような先生の言葉。


ねぇ、先生?


先生は過去に誰かを自殺で亡くしたの?


だからあんなに怒ったり泣いたりしたの?


先生の“トクン――トクン――”という胸の鼓動が聞こえる。


先生の温もり香りを感じる。



「先生……」



私は先生を見た。


先生は優しい顔で私を見下ろしている。



「…………守ってやる」


「えっ?」



“トクン”と胸が小さく跳ねた。



「俺が藤井のこと、守ってやるからな。大丈夫だから何も心配するな。俺が守ってやる……」



先生は“守ってやる”って言葉を繰り返していた。


それは先生としてなんだ。


わかってる。


そんなこと、わかってる……。


でも私の胸はどうしようもないくらい“ドキドキ”していたんだ。