先生は咥えタバコをしたまま、再び白衣のポケットに手を突っ込んで、携帯灰皿を取り出した。
携帯灰皿を持参してるなんて、最初からここで吸うつもりだったんだろうか……。
短くなったタバコを“白魚のような手”という言葉がピッタリ当て嵌まるような白くて細く長い綺麗な指に挟んだ。
「ルールなんてさ、破るためにあるようなもんなんだよ。そう思わね?」
こちらをチラッと見てそう言うと、タバコを携帯灰皿の中に入れた。
「先生がそんなこと言ってもいいの?」
「教師だって人間なんだ。中には俺みたいな考えの奴がいてもいいだろ?」
「先生って面白いね」
私は先生を見てクスクス笑った。
あ……。
学校でこんな風に笑ったのは初めてかもしれない。
私って、ちゃんと笑えたんだ。



