先生も私も、さっきまで自分が座ってたとこに座った。
お風呂上がりの先生は余計にカッコ良く見えて、私の胸は更に“ドキドキ”が増していた。
「家に連絡しなくて大丈夫か?」
「うん」
家を出る時、母親はどこに行くのか聞いてきただけで、私を引き止めようとはしなかった。
家を出た後も追いかけては来なかった。
それに先生とこに来て何時間も経つのに携帯に電話もない。
そんなに心配してないんだろう……。
先生も「そっか」と言ったきり何も言ってこなかった。
「藤井の家の前に車を止めようと思ったらさぁ……。車庫に車があって、お父さんが仕事から帰って来てんだなぁって……」
「うん、帰って来てた」
「で、家の前に車を止めたらヤバいかなと思って、角を曲がったとこに車を止めたんだ」
「そうだったんだ……」
先生が角を曲がったとこに車を止めてた理由がわかった。
「本当は挨拶しなきゃいけない立場なのにな……」
「気にしないで?」
私たちは別に付き合ってるわけじゃない。
だけど、母親に見られていたら父親に言うかもしれない。
父親も母親も勘違いして何をするかわからない。
あの人たちは、そういう人だ。