「先生?ここだよ」
ロフトの柵から下を見てそう言った私に、先生はロフトを見上げた。
「そこにいたのか。下りておいで?」
「うん」
私はハシゴを使って下りた。
エアコンのきいた部屋。
ヒンヤリした空気が熱くなった体を冷やしてくれる。
「熱かった~!」
Tシャツの胸元をパサパサしながらそう言った。
「だから言ったじゃん。で、何かいいものはあった?」
「ん?別になかった」
先生は“アハハ”と笑っていたけど……。
本当は青色のスケッチブックのことが気になった。
でも聞いたらいけないような気がして聞けなかった。



