先生はペットボトルのミルクティーをポンと私の前に置いた。
「これしかないけど……良かったらどうぞ?」
「ありがとう」
先生は私の横、ベッドの前に座った。
手にしていた、もう1本のミルクティーのペットボトルの蓋を開けてゴクゴク美味しそうに飲む先生。
「藤井?足、痛くないか?」
「えっ?」
「お前、葬式に来てる人みたいだぞ?足、崩せよ」
「あ、うん……」
正座をしていた足を開いてペタンとラグの上に座った。
「藤井、飯は?」
「食べたけど……少しだけ……。先生は?」
「食ってないよ。藤井も少ししか食ってないなら腹減ってるだろ?ピザでも取るか?」
「うん……」
先生はパソコンデスクの引き出しの中から宅配ピザのチラシを出してきた。
それをテーブルに置いて「どれがいい?」なんて聞いてくる。
先生って、ご飯作らないのかなぁ?
もし作らないなら何を食べてるんだろう……。
ピザのチラシを見ながらそんなことを思っていた。



