「先生、仕事帰り?」
スーツ姿の先生。
多分、仕事帰りなんだろうな……。
「あ?あぁ」
「ゴメンね、仕事で疲れてるのに……」
「謝るなよ。前に言ったろ?辛い時や苦しい時や寂しい時は、いつでも電話でもメールでもして来いって」
「うん……」
私は窓の外の流れる景色に目をやった。
「さて!どこ行こうか?」
「えっ?」
窓の外から先生に目線を移した。
「どこ行こうか?」
先生は、私をチラッと見て笑顔でそう言った。
どこ行こうかって聞かれても……。
何も考えてなかった。
先生と生徒の関係の私たち。
しかも噂まで流れた仲だ。
安易にいろんなとこへ行ける立場じゃない。



