夕方、定時で仕事が終わったらしく、珍しく父親が早く帰って来た。


母親のピアノ教室も早目に終わったみたいだ。


お姉ちゃんも家にいる。


今日は久しぶりに家族揃って早目の晩ご飯になった。


父親、母親、それにお姉ちゃんは、いろんな話をしながら楽しそうに食事をする。


私は黙々とご飯を食べ続け、フラれた話にも相槌しかしない。


お姉ちゃんの大学での様子。


母親のピアノ教室のこと。


父親の仕事の自慢話。


全てが私に関係ないこと。


めんどくさい。



「梨音は明日から夏休みだな」


「うん」



父親とは目を合わせない。


手に持ったお茶碗を見ながら返事をした。



「今年は受験の年なんだからダラダラ過ごすなよ」



先生みたいなこと言ってるし……。



「私、大学には行かないから」


「まだそんなこと言ってるのか!」



怒鳴る父親。


オロオロする母親。


自分は関係ないと、ご飯を食べ続けるお姉ちゃん。


私もお姉ちゃんと同じように、ご飯を食べ続ける。