「噂をしたいヤツはさせとけばいい。だってそうだろ？俺と藤井の間には何もないんだから。俺達は堂々としてればいいんだって！」


「そうだけど……」



でも私は先生みたいに強くないから堂々とすることなんて出来ないよ……。



「先生？やっぱり私……」


「藤井のせいじゃねぇって言ったろ？」



先生は私の言葉を途中で遮ってそう言った。


先生の顔には笑顔はなく、何だか怒ってるような……。



「でも……」


「迷惑なんて思うなよ？藤井は、ここに来たい時に来ればいい。迷惑だからここに来ないなんて考えは捨てろ」


「先生……」



もうこれ以上、何も言えなかった。


先生と喧嘩なんかしたくない。


先生に嫌われたくない。


そう思う気持ちの方が自分の中で勝ってるから。


いつの間にか流れていた涙。



「藤井、ゴメンな……」



先生はそう言って、私に近付くと、指で涙を拭ってくれた。


“ドキン”と高鳴る胸。


優しい顔で私を見る先生。


小さい子供を慰めるように、私の頭を優しく撫でた。