教室から出た時、始業のチャイムが鳴った。
「藤井?チャイム鳴ったぞ?」
廊下を歩いていた担任の小山先生が、鞄を持って廊下に立っていた私を見て声をかけてきた。
「体調が悪いので、帰ります……」
そう言って、小山先生の横を通り過ぎる。
そんな私を見ても何も言わず、小山先生は教室に入って行った。
静かな廊下。
微かに聞こえる朝のHRをしている先生の声。
生徒用の玄関まで来た時、涙が溢れて視界がグニャと歪んだ。
ポタポタこぼれる涙。
拭っても拭っても溢れ出る。
やっぱり、もう保健室には行けない。
先生に迷惑かけたくない……。
「藤井?」
不意に後ろから声をかけられて体が“ビクン”となる。
今1番、聞きたくなかった声。
ゆっくり振り返ると、そこに笑顔の先生が立っていた。



