「こらっ!藤井梨音!またサボりか?」
背後で男性の……しかも、どこかで聞いたことがあるような声がした。
“ビクン”と体が跳ねる。
ゆっくりと振り向く……。
…………えっ?何で?
黒のスーツの上に白衣を羽織った男性が、私のいるフェンスから、そう遠くない出入口のドアのところに立っているのが視界に入ってきた。
吸い込まれそうな大きな瞳が印象的な……。
私も彼の大きな瞳に負けないくらい目を見開いて彼を見た。
大きな瞳が私を捉えたまま、ゆっくりとこちらに向かって来る。
そして私の前に止まった。
私と彼の間に風が吹き抜けた。
サラサラの髪と白衣の裾が揺れる。
「あ、雨宮、雪……」
目を見開いたまま、私は彼の名前を呟いた。
何で?何で雨宮さんがここにいるの?



