「鍵、明日から学校に持って来いよ?」
「うん……」
「あ、それから……」
「ん?」
「藤井のケー番とメアド教えて?」
「へっ?」
まさか先生から携帯の番号とアドレスを聞かれると思ってなくて、思わずマヌケな声が出てしまった。
「もし藤井が、俺に電話やメールしてくれても名前を登録してなかったら表情されないから、誰かわからなくてイタズラだと思って放置するかもしんねぇしさ」
「あー……」
そういうことね。
「それにさ……俺から電話やメールしたいって思う時があるかもしんねぇじゃん?藤井が保健室に来なかった時、電話とかメールしたかったんだ。どうして俺の名刺を渡した時に聞かなかったんだって後悔したし……」
えっ?
先生の言葉を聞いて胸が更に“トクン”と跳ねた。
番号やアドレスを聞かなかったことに後悔したのも、ただ保健室に行かなかった私に、どうして保健室に来ないのかを聞きたかっただけで……。
先生にとって私は大勢いる生徒の1人に過ぎない。
そんなことわかってる。
わかってるのに……先生の言葉に胸が跳ね、顔や体中が熱くなる。



