「持ってないと、合鍵あげた意味ねぇじゃん」
白衣を椅子の背もたれにかけ、リュックを肩にかけた先生はそう言って、私の横を通り過ぎる時、頭をポンポンして保健室のドアの方へ行った。
「藤井?早く荷物持って来い」
「えっ?」
先生を見ると、初めて先生に送ってもらうことになった日と同じように、保健室の電気のスイッチに手をかけていた。
あの日と同じように、やっぱり私には先生に送ってもらう選択しかないみたい。
ここで「やっぱり1人で帰る」と言って先生を怒らせるのも嫌だ。
私は鞄を持って、先生の傍に行った。
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