「それだけ元気なら送って行かなくても大丈夫そうだな」
「あ、うん……」
「って、言いたいとこだけど、やっぱ1人で帰らすのは心配だから送って行くよ」
「えっ?」
「ほら、帰るぞ?早くしねぇと電気消して鍵閉めるぞ?」
先生はそう言って、ベッドの部屋から出た。
私もベッドから下りて、ベッドの部屋から出た。
あ、鞄……。
保健室の机の上に私の鞄が置いてあった。
誰が持って来てくれたんだろう……。
先生?
それとも担任の小山先生?
「あ!そっか……」
鞄が置いてある机じゃなく、パソコンが置かれた机で、私に背を向けて帰り支度していた先生は何か思い出したようにそう呟いた。
「お前、ここの鍵持ってんだよなぁ?だったら俺がここの鍵を閉めて先に出てもいいのか……」
先生は振り向いてそう言った。
「えっ?」
「持ってねぇの?」
「あー……うん……家に……」
あの日以来、ここに来ることはないと思ってたから先生にもらった合鍵は自室の机の引き出しの中に入れていた。



