枕元に置かれた体温計を取る。
熱なんてないのに……。
でも測らないと怒られそうだから、私は体温計をケースから出した。
そして、それを脇に挟む。
天井を見つめること90秒。
“ピピ――ピピ――”
測り終わったことを告げる電子音が鳴った。
脇から体温計を取り出して「終わった~!」と先生を呼ぶ。
先生がベッドの部屋に入って来た。
「見せてみろ」
「はい」
先生に体温計を渡す。
「あー……」
先生が体温計を見て声を出した。
「ね?熱なんてないでしょ?」
「いや、ある」
「えっ?」
「37度1分。微熱だけどな」
うそ……。
先生が見せてくれた体温計の液晶部分には間違いなく“37.1℃”の文字が……。
ホントだ……微熱だ……。
私は自分の頬っぺたを両手で包むように触ってみた。
熱い。
でもこれは先生が傍にいて、先生に触れられたから、それで熱くなっただけで……。
って、ことは……。
私、先生が傍にいて、先生に触れられただけで微熱出しちゃったの?
こんなことで微熱だけど熱出すなんて……。



