「藤井?」
先生は私を呼ぶと、目の下ギリギリまで上げた布団を少し下にずらした。
「顔、赤いぞ?」
「えっ?」
「ただの寝不足なのに熱があるのか?」
先生はそう言って、手を私のおでこに乗せた。
“ビクッ”と跳ねた後、固まる体。
“ドキドキ”と煩い胸の鼓動。
「ね、熱なんかないから……」
「そうか?」
先生はそう言って、おでこから手を離した。
と、思っていたら、今度は手の甲で頬っぺたに触れてきた。
私の胸の鼓動は“ドキドキ”なんて可愛くもんじゃなく“ドクンドクン”と激しく鳴っている。
先生、やめて?
早く手を離して?
お願い。
私、変になっちゃいそうだよ……。
だから……お願い……。
「もしかしたら熱があるかもしんねぇから、一応、熱測ってみろ?」
「い、いや、だから……」
「いいから」
先生は白衣のポケットから体温計を出して枕元に置いた。
いつも持ち歩いてるの?
「測り終わったら呼んで?」
先生はそう言ってベッドの部屋から出て行った。



