両手を広げて、春の空気を思いっきり吸い込んで、体を前に倒してみた。
“ドンッ”と体に何かが当たった。
ゆっくり目を開ける。
体に当たっていたのは鉄製のフェンス。
「はぁ……」
口から漏れる溜め息。
それは空を飛べなかったことじゃなく、体がフェンスに当たったことで現実に引き戻されたから。
鳥じゃないんだもん。
飛べるはずないよね。
バカみたい。
溜め息の次は“クスッ”と口から小さな笑い声が漏れた。
フェンスにもたれ掛かって、校庭の反対側、教室がある校舎を見た。
廊下にいる生徒が教室に入って行くのが見える。
離着任式、終わったんだ。
次はHRだ。
このままHRもサボっちゃおうかな。
そんなことを思いながら、体をまたフェンスの方に向けた時――…。



