「はぁ……」



溜め息をついて、体をクルッと反転させた。


校庭に来客駐車場が見える。


グラウンドでは体育の授業が行われてる。


生徒たちの明るい声が聞こえる。


いつもの風景…………だったのに……。


…………あっ。


グラウンドの角にあるベンチ。


そこに白衣を着た男性が足を組んで座って体育の授業を見ている。


理科系の先生の他に白衣を着てるのは……。


…………養護教諭だけ。


“ドッキーーン――”


久しぶりに目にする先生の姿を見て胸が高鳴った。


白衣を着て足を組んでる姿が美しく見える。


あの周りに薔薇でもあれば少女マンガの世界だ。


私は左右の親指と人差し指で長方形を作り、その中に先生を当て嵌めた。


しばらく、そうして先生を見てると……。


ヤバいっ!


屋上からの視線に気付いたのか、先生が顔を上げてこっちを見た。


私は咄嗟にフェンスに背を向け、先生から姿が見えないようにしゃがみ込んだ。


走ったわけじゃないのに息が上がる。


“ドキドキ”と胸の鼓動が早い。


胸元を両手で抑え、そのまま体を倒した。


真上に真っ青な空と、ゆっくり動く雲が見える。


ゆっくりと動いている雲を見ていると瞼が重くなり、だんだん意識が遠退いていった。