授業を告げるチャイムが鳴った後の屋上は当然誰もいない。
屋上の床はコンクリだから太陽の照り返しで暑いけど、たまに吹く風が気持ちいい。
鉄製のフェンスに体を預ける。
あぁ……眠い……。
体がダルい……。
屋上に来たからって何かするわけじゃない。
ただ、こうしてボーとしてるだけ。
ボーとした頭には昨日の親との喧嘩が浮かんだ。
高校3年生、今年は受験の年。
親は当然、私が大学に行くと思ってたらしく、どこの大学に行きたいか聞いてきた。
私は大学になんか行きたくない。
やりたいこともないのに大学に行くなんて無駄。
それなら就職した方がいい。
就職したい理由はそれだけじゃない。
早く家を出て自立したいから。
あの家にはいたくない。
でも、この不況で就職難の中、高卒が就職するのは難しい。
それだったらフリーターでもいい。
あの家を出て、1人になれれば何だっていい。
なのに親は大学に行けの一点張り。
私の気持ちなんて誰もわかってくれないんだ……。