お姉ちゃんがいなくなった部屋の中は急に静けさを増した。


机の引き出しから合鍵と名刺を出して机に置いた。


机に突っ伏して、顔だけを合鍵と名刺に向けた。


“はぁ”と小さく溜め息をついた後に、合鍵と名刺を見て今更ドキドキしている自分がいた。


“梨音がその男のことを好きだからなんだよ”


お姉ちゃんの言った言葉が頭の中でリピートされる。


その男……。


それは先生。


私は先生が好きなの?


“ドキン”と小さく跳ね上がる胸。


やっぱり……私は……。


でも、お姉ちゃんに言われて気付くなんて……。


それとも本当は気付いてたのに、先生と生徒という関係だから気付かないフリをしていただけなのかな?


銀色に輝く合鍵をそっと指で撫で、赤いハートのキーホルダーを指でピンッと弾いた。


赤いハートのキーホルダーをピンッと弾いた時、私の胸も“キュン”と疼いた。


このキーホルダーは、まるで私の心みたいだ。


――先生が好き。


そう確信した私。


でも、先生には言えない……。


好きになってはいけない人だから……。