「人を好きになるって、そんな感じ」
「そんな感じって……どんな感じ?」
私のバカな質問に、お姉ちゃんは“はぁ”と小さく溜め息をついた。
「もぅ!あんたって、どこまでバカなの?いい?あのね、梨音は1人の男が頭に浮かんだんでしょ?で、その男の傍にいたり、想ったりしただけで胸がドキドキしたりキュンと疼いたりするんでしょ?それは、梨音がその男のことを好きだからなんだよ」
「えっ?」
再び目を見開いて、お姉ちゃんを見た。
「だって、どうでもいい男には胸はときめかないでしょ?」
確かに……。
学校にいる男子が傍にいても胸がときめくことはない。
逆にウザさを感じてしまう。
「そういうこと。じゃあ私、下りるから梨音も早く下りて来なさいよ」
お姉ちゃんはそう言うと、部屋のドアを閉めた。



