目を開けると、見慣れた保健室の天井が目に飛び込んできた。
上に天井があるってことは自分は今、ベッドに寝てるんだ。
「起きたか?」
「えっ?」
突然、聞こえてきた先生の声。
頭だけ横に向けると、椅子に座った先生がいた。
私はさっきこの人とキスしたんだ。
そう思った途端、急に顔がカァーと熱くなって恥ずかしさが込み上げてきた。
私は体ごと横を向いて、先生に背を向けた。
胸が“キリキリ”痛い。
「藤井?」
切なそうな声で私の名前を呼ぶ先生。
「……ゴメン」
そう呟くように謝ってきた。
謝るなら最初からキスなんてしないで。
“冗談だよ”って大爆笑してくれた方が良かった。
私のことなんか好きじゃないくせに……。
“キリキリ”痛んでいた胸は“キュー”と苦しくなっていった。



