「寂しがりやの藤井に、お待ちかねのプレゼントをやろう」
先生はそう言って、机の引き出しを開けると、中からピンク色の小さな紙袋を出してきた。
「はい、プレゼント」
先生がピンク色の小さな紙袋を差し出した時……。
“ガタガタ――”
誰かが鍵のかかった保健室のスライド式のドアを無理矢理開けようとしていた。
先生が保健室のドアの方を見る。
「先生?」
「シー!」
先生は人差し指を自分の口に当てた。
「札が不在中になってる」
「鍵もかかってるし、先生いないみたいだね」
「帰る?」
「そうだね。あーあ、先生と話したかったのになぁ……」
「また明日、来ればいいじゃん」
ドアの外にいた女子生徒と思われる子たちは先生がいないとわかると帰って行った。
先生ファンの女の子達なんだろう……。
変な緊張感から解放されたように、私の口から小さく溜め息が漏れた。
と、同時に女の子達に対して罪悪感が込み上げてきた。



