「冗談だよ。冗談」
先生は笑いながらそう言って、私の頭をポンポンとしてきた。
な、なーんだ……冗談かぁ……。
冗談ってわかって安心したのか、私の目から余計に涙がポロポロと、こぼれ落ちて涙が止まらなかった。
「泣くことないだろ?」
「だ、だってぇ……」
「ゴメンな?」
私は首を左右に振った。
先生は椅子に座って、白衣のポケットからハンドタオルを出して来て「涙、拭きな?」とハンドタオルを差し出してきた。
「あ、いいよ。自分のがあるから」
そう言って、制服のポケットに手を入れて、ハンカチを出そうとしたら……。
「いいから」
先生はそう言って、ハンドタオルで涙を拭いてくれた。
ハンドタオルを優しく頬に押し付けるように拭いていく。
体が“ピクン”と反応する。
「拭けた」
先生はそう言って、ハンドタオルを白衣のポケットにしまった。



