「あ、藤井?」
「ん?」
「外にかかってる札を“不在中”にして、ドアに鍵かけて?」
「えっ?」
私は目を見開いて先生を見た。
何で札を“不在中”にして、ドアに鍵をかける必要があるんだろう……。
不在中の札、ドアに鍵……。
ちょっと前に読んだ携帯小説。
確か、同じようなシーンがあったはず……。
養護教諭が好きな主人公が保健室に行って、札を不在中にしてドアに鍵をかけて……。
その主人公と養護教諭は、いけない禁断の関係になって……。
それは小説の中の話で、私のいる世界は現実で……。
私と先生は、ただの養護教諭と生徒の関係。
禁断の関係ではない。



