“ガラガラ――”
スライド式のドアを開けて保健室に入った。
机の上で何かの書類を書いてた先生は、ペンを止めて椅子ごとこちらに向いた。
「何か用?」
そう言った先生は含み笑いをした。
「はい?」
先生の言ってる意味がわかんない。
月曜日の放課後に保健室に来いって言ったのは先生なのに……。
「うそうそ」
先生はそう言ってクスクス笑った。
何か凄くバカにされた気分。
どんな気持ちで朝から過ごして来たと思ってんのよ!
「そんなに怒るなよ~」
「別に怒ってなんか……」
怒りを通り越して呆れてるだけ。
「約束、ちゃんと覚えてたんだな」
私の気持ちをわかってるのかわかってないのか……。
先生は優しくそう言うと、椅子から立ち上がり、私の傍に来ると頭をポンポンとした。
“ピクン”と小さく跳ねる体。
それとは反対に私の胸のドキドキは更に加速していた。
やっぱり先生は私の気持ちをわかってるのかわかってないのか、何事もなかったように自分の席に戻ってしまった。



