『裁き』と称して両親を手に掛けると言った数日後、2人は旅行中の事故で命を落とした。


 警察は偶然の出来事として、事故死で処理をしたが、彼女の『裁き』は終わらない。

 宣告をした数日後、彼女の両親だけでなく、親戚も次々と不審な死を遂げていく。

 ある者は交通事故。またある者は不始末から起こった火災で。

 そのすべてに証拠が見つからず、彼女は警察に連れて行かれることなくのうのうと暮らしていた。

 自分の兄弟姉妹の妻や夫からの非難が続くと、彼らまでも死に追いやったが、やはり決定的な証拠がみつからず、野放しにされたまま唯一の肉親である弟の長い長い寿命が尽きた。


 肉親の居なくなった彼女はいつしか忘れ去られ、世界の注目を浴びた連続不信事件もまた、過去のものとなっていったが、ある人物は一連の事件をずっと調べ続け、ある事実を必死に書き留めていた。