「このまま近付くぞ」

 障壁のように並んだ木を押し出すように手を添えながら三人はゆっくりと前へ進む。

 隙間から見えるのは他の木々たちだけで風稀はもう少し先に進んでしまったようだ。

「ベキッ…! バリバリバリ…!」

 近くで何本かの木が倒れる音がする。

「うわっ!!」

 木で作った障壁が押し返される。
 少しだけ砕けた木の隙間から見えたのはなぎ倒されたいくつもの倒木と、強風にびくともしない風稀。


 そして十メートルはあるであろう巨大なオレンジが買った茶色の鳥だった。

 その鳥が常に羽ばたいてこの風を引き起こしているようだ、

「目が合った」

 雷志が言った瞬間、その鳥はこちらへと体を翻し頑丈なくちばしとその身体全体を障壁に向かってぶつけてくる。

「ぐああああ……!!」

 氷斗が操っていた気は粉々に倒れ、勢いよく飛ばされた三人は背中や肩をまわりの木に思い切り殴打する。

 言葉も出ない痛みにのたうち回る三人を見て風稀は不安がるばかりで何もできない。