「僕、言ってくる」

 風稀がひとり前に出て森の奥で何が起こっているのか確認しようとし始めた。

「風稀、おまえじゃむりだ。行くんじゃない」

 雷志の言葉に振り返った風稀は、
「だって僕、全然強い風なんて浴びてないんだもん。大きな声が平気だった火栄と一緒だよね」

 次は風稀だったのか。
 残された三人は不安ながらも頼るしかない、試すしかないと腹をくくった。


「俺様は試したいことがある」

 そう言って氷斗は雷志と火栄を自分の近くに呼び寄せる。
 風にあおられながら何をするんだよと言う雷志に、ちょっと静かにしろと制す氷斗。

 胸に手を当てて言った。

「森よ、木々よ、草花よ、我に力を与えたまえ!」

 一回り細いとはいえ、うっそうと茂る木々が一列に並び三人の前に立ちふさがった。

「マジかよ…、出来るもんなんだな」

 氷斗本人が一番驚いているようだ。