一人の男性を貫いたであろう火栄の剣は剣先からゆっくりとその姿を消していった。

 火栄は男性を貫いたその姿勢のまま固まっている。

「火栄も大きくなったぞ…」
 氷斗が小さくつぶやくと火栄は姿勢を正す。

「オレ達二人の身体が大きくなったことに何か意味でもあるのでしょうか」

 火栄はゆっくりと三人の下に歩いて行った。

 地面に倒れこんでいた三人はゆっくりと体を起こし、頭を押さえたり、体を触ったりして自分たちが無事であることを確認している。
 三人とも無事のようだ。

 火栄が手を差し出し、それを掴んだ雷志が立ち上がる。続いて風稀、氷斗も。

「氷斗は草木の力を使っていたみたいだが、火栄は鳥の力を借りた…のか?それとも操っていたのか?」
 服に着いた土を払い落とした雷志は氷斗と火栄を交互に見回すがその答えを知っているものは誰も居ない。

「今の男の人も僕たちが昔倒したの?」
 風稀が首をかしげながら火栄に質問する。

「俺様は知らないぞ」
 氷斗は即答した。

「戦いましたよ、どのくらい昔の記憶なのかは全く解りませんが」

 そう言って火栄は男性が座っていたであろう草原を眺める。