今一時間の感覚が解っていなかった四人は今が夕方であることに気付いた。

『雷志、日持ちのする食べ物がないか聞いてください』

 服の隙間から少しだけ顔を出した火栄が雷志に声をかける。明日行く予定のチュラ川までの道中、保存食として何かを買っておきたいようだ。

「持ち歩ける食べ物はありませんか?」

 雷志の言葉に『弁当なら毎朝作ってるよ、明日の早い時間に来てくれれば用意できるからね』と対応してくれた。

「これでとりあえず四人分の食料はなんとかなりそうですね」
 店を出て火栄が一安心したように呟いた。

「あとは何が必要なんだろう?」
 見当もつかない、といった具合に風稀が首をかしげる。

「俺様は知ってるぞ。温かい服装だ」
「別に寒い所に行くわけじゃないから必要ないんじゃないか?」
 どこかの記憶から拾ってきたのか自慢げに話す氷斗だったが、雷志は冷たかった。

「でも、僕お昼寝好きだからくるまって眠れる布とかあったら嬉しいな」
「ほら、必要だろう!」

 風稀の助け舟に嬉々としている氷斗。旅支度の知識もこの村の住人に聞いて用意したほうがよさそうだ。