「あなた達かい?数人で人探ししているって人たち」

 息を弾ませながら小走りしてきたのは40代の女性。手には布切れのようなものを持っている。

「何だか、急いでる人が、これを渡してくれって。」

 雷志が受け取って布を広げて見ると、地図のようだった。
 今いるこの町は『ムボラツ』という名前らしい。

 その先にある、チュラ川を渡り、サンチュ山脈を抜けると、アロアという町に出るという。

 簡単な地図だけで、そこに何があるのかさっぱり解らない状況だが、今はこの布を信じてアロアという町に進む必要がありそうだ。

 持ってきてくれた女性にお礼を言い、すぐさま移動を開始することにした。

 ムボラツの町の人に聞いたところ、チュラ川までは相当な距離があるとのこと。
 たまに旅人も見かけるが、大体はこの先の村で最低限必要な道具を購入するらしい。
 何ヵ月もかかるわけではないが、備えておいた方が良いだろう。

「じゃぁ、まずは村でお買い物だね!」

 元気に跳び跳ねながら進んでいく風稀をみて頼もしく思えたり、不安を覚えたり。

 何のために自分達はここに居るのか?
 解らないものを背負って、知らない情報を手繰り寄せながらの旅が始まったのだ。