旅館を出るときに宿代を請求されたが、その時初めて通貨を持っていないことに気付く四人。

 その雰囲気に気付いたのか、店主がにらみを効かせてくる。

 当ての無いものを軽口であとで払いますなどとは言えるわけもなく、所持金が尽きてしまったと正直に答える雷志。
 その答えを聞きながら店主は氷斗が居ることに気付く。

「お、運ばれてきたにーちゃん、元気になったんだな。しゃーねー。今回は怪我人も居たって事で、サービスにしてやるよ。」

「わーい!おじさん優しいね!」

 無邪気に喜ぶ風稀の横で、頭を下げる雷志。

「手元に宿代に値するお金が手に入ったら、必ず支払いをしに戻ってきます。」

 主はぷらぷらと手を振って、『まぁ、そのうちなぁ』なんて事を言っている。
 人のいい旅館にお世話になれて良かったと誰もが思った。