「氷斗、大丈夫かなぁ、頭痛いってずっと言ってたけど…」

 雷志も無言で、自分とほぼ同じ背丈になった氷斗を眺めている。
 何か声をかけようとした時、

「……っ」

 氷斗の顔が歪んだ。

「大丈夫ですか?氷斗」

 火栄は氷斗の回りをふよふよ飛び回りながら変わったところがないか調べているようだ。

「俺様、やられたのか?」

 見た目が大きく変わりはしたが、もしかしたら頭もおかしくなってしまったのかもしれない、と悩む雷志。

「あの女はどうなった?」

 勢いよく起き上がりすぎたのか、頭をおさえてうずくまる。

「女?あの時すれ違った女性?何もなく通りすぎていったけど?」

 氷斗の不可解な質問に、眉間にシワを寄せながらも雷志は答えたが、すぐに反論される。

「まさか!そんな訳がない!だって今戦ってたじゃないか、森の、木の力を借りて!」

 そこまで言ったところで、ようやく、ここが森の中ではないことに気づいた。