「風稀」

 不意に雷志が声をかけた。

「信じられるか?」

 風稀はうつ伏せのまま顔だけ雷志に向けて、ふるふると首を横に振る。

「さっぱりわからないな。セイラだかってのをどうにかしなきゃいけないって。真剣な表情で説明してたけど、悪いがただのくだらない話じゃないか」

 愚痴をこぼし始めた雷志を見るのを止め、逆側を向く風稀。

「ぼくだって、全然解んないよ…」

 震えた声で言う。

 見た目からしてまだ子供なのか不安に思う心が彼の声を震わせたのだろう。

「お前は寝ろ。外も静かになってきたから、寝れるだろ」

 雷志は風稀の布団を無理やりめくり、布団に入るよう促す。

 部屋の明かりを消すと、外から漏れてくる光だけになった。

「よく解らないけど、これからもよく解らないことが何度も起こるんだろうさ。これが運命なら、従うしかないだろ、次起こることに」