しばらくすると、いろんなところからヒソヒソ声が聞こえてきた。なんだろう……。



あたしは隣に座っていた女子に話しかけた。茶髪のボブの女の子。



「ねぇ。なんでそんな静かなの?」



かなり優しく言ったのに、話しかけた瞬間、女の子の肩がビクッて震えた。



「ねぇ、教えてくれない?」


「……っ…」


「黙ってたらわかんないんだけど」


「……さちゃんと、仲…い…の?」


「はぁ?」


「つっ…翼ちゃんと…仲いい…の?」


「翼?さっき知り合っただけだけど。結構仲良くなった…かな」


「………」


「なんで黙るのよ!!翼がどうしたの!?」


「翼ちゃん…て、怖いんだよ。なにかあったら喧嘩。前の中学で少年院に行かされたらしいし…暴力ばっかりで…。逆らった人たちはみんな血を出して…病院に行ったって…」


「へ…そう…なんだ…」



あたしは翼を見た。ひじをついてボーっとしてる。ただ、周りの男子でも青い顔をして、翼を避けている。



「そっ…それに翼ちゃんは小也さんの…敵だから」


「サヤさん?」




キーンコンカンコーン



あ、結局何もしてないし。駄目じゃんこの先生。



ガタッ



翼が席を立った。また皆が恐る恐る翼を見て黙る。



「…そこの翼の隣のやつ、邪魔」


「あっ…すいませんっ」


あたしがさっき話していた子がどいた。翼はその席に座った。



「蜜!!どう?この学校」


「どうって…まぁ始めは楽しそうだと思ったけど…」



こんなにビクビクされちゃあ、いいスクールライフなんておくれないよ…。



「翼はさ、何でこの学校にしたの?」


「あたしがいけるレベルがここしか無かったから。それに、会いたかった人もいるからね」


「会いたかった人!?あたしも…会いたい人がいるの!!!」


「蜜も!?」


「そう!!すっごく大好きで…6月からずっと会えるのを楽しみにしてたの!!」


「すごいじゃん」


「でしょ!?翼は?誰なの?」


「…それ知ったら、蜜も小也に嫌われるよ?」


「え…?」











「じゃ、あたしちょっと外に行ってくるね」



翼…一個謎が解けたと思ったのに。
謎が多すぎるよ…翼。