イジワル王子に恋して


教室の窓から勢いよく顔を出すと、
校庭に自転車に乗った圭くんが彩子を見上げていた。


「おいっ!馬鹿っ!帰んぞ!」

「圭くん…」


逢いたくてたまらなかった人。

圭くんが涙でにじんで
見えなくなる。


「降りてこい!」


彩子はその声とともに
走り出した。


「あ…彩子っ!」


みっこの声がもう遠くに聞こえた。


廊下を走って、急いで階段を駆け降りる。


「きゃっ!!」


途中
つまづいて勢いよく転ぶ。

血の出たひざを眺め、ため息をついて
また立ち上がる。


だけど
また走り出した。


圭くん…
圭くん…