イジワル王子に恋して

「彩ちゃん。」


そこには爽やかな笑顔で田中先輩が立っていた。


「田中先輩っ!」

「先生から、追試はなし。お前が教えてやれって言われちゃった。」


そう言って
彩子の前に座った。


「何やってたの?」


田中先輩はシンプルだけどオシャレな眼鏡を
少しいじった。


「えっと…この計算を…」

彩子は戸惑いながらも
教科書を指差す。


「あ、これはこの公式を使うんだよ。」


田中先輩はそう言って
丁寧に教えてくれる。


圭くんみたいに怒ったりしないし
すごく優しいし、
分かりやすい。


「わっ。できた〜」

「彩ちゃん、飲み込みいいよ!頭いいんだよ。」


圭くんに教えてもらってた時は
ほめてもらえた事なんかなかった。


本当に意地悪なんだからっっ。