イジワル王子に恋して

「おいっ!木下!」


ホームルーム中も
ぼんやりの彩子に担任のげんこつが落ちる。


「…痛ぁ。」

半泣きの彩子に
クラスメイトの爆笑が送られる。


「お前はテストを何だと思ってるんだ!」

「頭が悪いのは前からだもん…これでも頑張ったんだから!」


彩子は不満げに頬をふくらました。


「馬鹿やろぉ!これを見てみろ!」


担任がひらひらと
テストを彩子の前に広げる。


回答欄には



あいたい




の文字。


「え??」

「どうせ佐伯の事ばっかり考えてたんだろっ!追試だ!追試!今日、残れ!」


クラスは
爆笑の渦に巻き込まれたが
親友だけは
彩子の状態に少し不安を覚えていた。