イジワル王子に恋して

「圭先輩?」


俺は
街をさ迷っていた。


というか
自転車を探していたんだと思う。


声をかけてきたのは
あいつだった。


そう…
みっこ。


あいつの話の中で
10秒に1回は話に出てくる主要人物。


「何してるんですか?」

「いや…別に…」


みっこは不思議そうに
大きな瞳で見つめてくる。

「何か…探してませんでした?」


するどい…
彩子から聞いていた通りだ。


「いや…じゃあな。」


くるりと向きを変え、歩き出す圭を
またみっこが引き止めた。

「圭先輩!」

「はい。」

「彩子…田中先輩と付き合ってなんかいません。」